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「好きなこと」を仕事にするってなんだろう。

eye_ninja

2011/12/21 15:19

category : 未分類
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学生によく言われることがある。

「好きなことを仕事にしていて、うらやましいです。」って。

古い友人に同じようなことを言われることもある。

 

そんな言葉をもらうたび、とても不思議な気持ちになる。

「好きなこと」を仕事にしている…。

俺、「好きなこと」を仕事にしてるっけ。

 

どうも世の中、「好きなことを仕事に!」みたいな価値観が蔓延り過ぎな気がするのだ。

まるで「好きなこと」を仕事に出来なきゃかっこ悪い、みたいなね。

 

結論から言えば、仕事を好きになれよ、って話なんですが。

 

 

僕はいま、記事を書いたり企画をたてたり取材をしたり、といったコンテンツ屋さんで働いている。

転職したばかりだからまだまだ全体は見えてないにしろ、これまでの経験も生かせ、仕事はとても楽しい。

また、この仕事とは別に個人名で漫画の原作の仕事もさせて頂いている。

そして本職とは別にmochromという素晴らしいユニットで仕事もしている。

他に、Twitterを使ったマーケティングでの収入もある。これも仕事かもしれない。

 

なんとも集中力の無い僕の仕事スタイルではあるが、どの仕事も僕は好きだ。そう考えると僕は「好きなこと」を仕事にしているとも言える。

でも、そこに少しだけ引っかかる。

「好きなこと」を仕事にしているのではなく、仕事をしている自分が好きなのだ。

 

僕は以前、流行の心の病にかかったことがあり、開き直って一年間仕事をしなかった。とても無益な期間だった。今思い出しても口の中がいやに乾く。

仕事をしていない自分はやはり好きになれない。むしろ、自分はなにが好きなのかすらわからなかった。いろんな「好きなこと」を探し口に入れてはみたが、この期間にはじめた「好きなこと」で今残っているものは一つもない。

 

 

そもそも僕が最初に就職したのは21歳の時だった。地元の介護系の会社に就職した。それまで介護だなんて全く興味がなかったけれど、ヘルパーの資格をとったり、実際に高齢者と接していくなかで、そこに面白味を見つけた。そして僕は介護職が好きになった。今でも高齢者の方と接することが好きだし、老いや死に対する恐怖もこの仕事のおかげでだいぶ緩和されたと思う。

 

 

「好きなこと」を仕事にしようと、まず「好きなこと」を必死に探す若いひとを見ると哀しい気持ちになる。「好きなこと」は探したり訪れるものではなく、気付くものなのだと教えてあげたい。

自分がなにを好きなのか、なんてのは常に変わりゆくもので、むしろ不変でいるなんて不可能だ。もしかしたら明日僕はクレーン車に魅了され、没頭してしまう可能性だってある。それと同時に、今持っている「好きなこと」をすべて東京湾に沈めてしまうおそれだってある。極端に言えば。

それはタイミングや心境でころころと変わるものであり、その時の自分とリンクして相対的に存在するのが好きなもの、なんだろう。それは何も醜いことではなく、当たり前のことだ。そして非合理的でわがままな感じが、すごくすごく可愛らしくて僕は好きだ。これは恋愛と一緒だね。

 

「好きなこと」を仕事にする、なんてのは幻想なのかもしれない。もし誰かの仕事がそう見えるなら、あなたは少しだけ想像力が足りてないか、もしくは彼らに興味がないだけなのかもしれない。

 

虜にするものは世の中にたくさんある。そして残念ながらその大部分は働かないと気付けないものが多い。誰かが作ったアニメ作品を観るのももちろん楽しいが、作る楽しさは作らないと気付けない。受信者の楽しさを発信者として求めると破綻するのもまた然りだ。

 

これから働くひとに伝えたいのは、「好きなこと」を仕事にしようと「好きなこと」を必死に探すより、好きになるであろうものが潜む場所を見つけること、そして自分はどんなものを好きになる人間なのか、まずはその器を知る必要があると僕は思う。

 

僕は仕事をしている自分がとても好きだ。そしてそれは、働いてから気付けたのだ。

 

エヒタ


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